「資格は取ったけれど、それをどう活かしたらいいのか分からない」
「未経験だけど、Webライターってどう始めたらいいの?」
そんな声に応える連載企画『資格とキャリアスペース』の第4弾。今回は、「資格×ライターの可能性」をテーマにお送りします。

ゲストは、2020年から約4年間にわたり、義母を在宅介護しながら複数の資格に挑戦し、現在はWebライターという新たなステージを目指しているyonecoさん。
そして、司法試験を経て一般企業の法務部で経験を積んだ後、2024年から本格的にWebライターとして独立。8か月目にしてライター収入30万円超という成果を出し続けている飛鳥さん。
インタビュアーはわたくし、さわだまいが担当しました。
この記事を読めば、資格や経験を活かした新しい働き方のヒントが見つかるはずです。特に、在宅で収入を得たい、自分のペースで働きたいと考えている方には必見の内容です。
介護だけの日々にしない。資格を通じた“未来への希望”(yonecoさん)

まずはyoneco(@yoneco7711)さんに、これまでの歩みと、なぜ資格を取得しようと思ったのかについて伺いました。
yonecoさん:2020年から義母の在宅介護をしていました。末期がんという状況で、日々の生活は介護中心。でも、介護だけの毎日になるのが、自分にとっても正直怖かったし、義母にも申し訳ないような気がして……。
そんな中で、“何かを学ぶ時間”を持つことで、介護以外の自分の軸を保ちたいと思ったんです。資格取得は、心の逃げ場でもあり、義母と向き合うための大事な支えにもなっていました
yonecoさんは、介護の合間を縫って数々の資格に挑戦。取得した資格は以下の通りです。
- FP2級
- 宅地建物取引士(宅建)
- 整理収納アドバイザー1級
- 愛玩動物飼養管理士2級
- 現在はFP1級を勉強中

介護をしながら、こんなにも挑戦を続けられた精神力。その背景には、「誰かのためだけでなく、自分自身の未来のためにも学び続ける」という、強い意志がありました。
法務キャリアからライターへ──飛鳥さんの異色の転身


続いて、Webライターとして着実に成果を上げている飛鳥さん(@flybird_free)のキャリアについて伺いました。
飛鳥さん:私はもともと法学部出身で、司法試験にも取り組んでいました。その後、企業の法務部に入り、2度の転職、3社で6年半勤務しました。法務では、ロジカルな思考力と文章力が磨かれたと思っています。
その後会社と自分の価値観が合わないなど紆余曲折あり、退職を経てWebライターとなりました。はじめからライターになりたいと思っていたわけではありませんが、流れに身を任せつつ努力したおかげで現在は順調だと言えます。
法務からライターへという転身は、簡単ではなかったでしょう。しかし、2024年に本格的にWebライターとして活動を開始してからは、着実にステップアップ。
2025年2月の実績は以下の通り:
- ライター収入:約31万円
- ブログ収入:約5万円
- 合計:約36万円(1月比 約6万円アップ)
飛鳥さん:ライターという仕事は、知識を“伝える力”が問われます。幸い私は法律に詳しいという強みと、権威性がありました。法律という専門分野を活かせたことが、クライアントからの信頼獲得につながったと思います
Webライターに興味を持ったきっかけ
さわだ: yonecoさんがWebライターという働き方に興味を持ったのは、どんなきっかけがあったのでしょうか?
yonecoさん: きっかけは、義母を担当してくださっていた薬剤師さんとの会話でした。ある時、その方から『もしよかったら、うちの会社で事務として働きませんか?』と声をかけていただいたんです。とてもありがたいお話だったのですが、当時は介護があって自由に外出することが難しかったので、残念ながらお断りしました。
さわだ: そうだったんですね。介護との両立を考えると、外で働くのは難しい状況だったのですね。
yonecoさん: はい。そうしたら、その薬剤師さんが「それなら、Webライターという働き方はどう? yonecoさんの今の状況や合っているかもしれないよ」とアドバイスをくださったんです。
さわだ: 薬剤師さんからWebライターを勧められたんですね!
yonecoさん: はい。たまたまその薬剤師さんの患者さん(お客様)の中にWebライターとして活躍されている方がいらっしゃって、働き方について詳しかったようなんです。「在宅でできるし、向いていると思う」と教えていただいて、初めてそういう仕事があるんだと知りました。
さわだ: それは素敵な出会いですね。そこから興味が湧いた、と。
yonecoさん: はい。それまで全く知らなかった世界でしたが、アドバイスをきっかけに調べてみたら、在宅で自分のペースで取り組めそうですし、資格の勉強などで文章を書くこと自体は嫌いではなかったので、「これなら私にも挑戦できるかもしれない」と、とても興味を持ちました。
Webライターの始め方──まずはクラウドソーシングの案件に応募してみよう
さわだまい:飛鳥さん。yonecoさんは、これからWebライターを目指したいとのことですが、最初はどこから始めたら良いと思いますか?
飛鳥さん:クラウドソーシングが登竜門になることが多いです。クラウドワークスやランサーズで、気になる案件に応募してみるといいですよ。ぼく自身も、法律系の案件に応募して実績を積みました。
さわだまい:最初のうちは単価が低すぎる“搾取案件”も多いので、文字単価0.1円~のような案件は避けた方が無難です。『落ちるのは当たり前』くらいの気持ちで、適正な案件にたくさん応募するのがおすすめです。
騙されないために──クラウドソーシングの落とし穴
飛鳥さん:クラウドソーシングには、残念ながら“テストライティング詐欺”のような案件もあります。
採用後に“テスト”と称して低単価で記事を書かせて、高クオリティでも正式契約には至らない…僕も実際に1文字2円に惹かれて応募したらと、非常に安いテストのみで終わりにされた経験があります。
さわだまい:発注者の評価をしっかりチェックすることが重要ですね。評価が低い案件には手を出さないようにしましょう。評価のない発注者も要注意です。
慣れてきたら顧客との直接契約もおすすめ
飛鳥さん:個人的には、クラウドソーシングからは早めの卒業がおすすめです。インターネットなどでライターの募集案件を直接探してみましょう。そちらの方が単価が高い場合が多く、結果として早く目標収入に達することができる気がします。
私は法律の専門知識があったのが強いかと思いますが、納品物に求められるクオリティはそう大差ないと思います。クラウドソーシングで慣れてきたと感じたら、ぜひ直接契約にも挑戦してみてください。
ブログやnoteをポートフォリオに活用しよう!
yonecoさん:ライター初心者は、ブログをやった方がいいと聞きますが、noteでもOKですか?
飛鳥さん:noteでも全く問題ありません。文章のクオリティや表現力を見てもらえるし、ポートフォリオ(実績集め)として十分機能しますよ。僕はWordPressでブログも運営していて、月間2〜3万PV。クライアントへの信頼やアピールにもなっています。
さわだまい:飛鳥さんのブログは、構成やCTAの導線、読者をひきつける工夫など、とても参考になります。初心者の方が“文章の雰囲気”を伝えるにはnoteもいい選択肢だと思います。ただ、大変な場合は無理に用意しなくても大丈夫。まずは書くことに慣れるのが先決です。可能な場合は気楽に、あまり構えすぎずに始めてみましょう!
目標収入から逆算!「単価×文字数」で考えるライターの収入戦略
飛鳥さん:ライターの収入は“単価×文字数”で決まります。まずはこの計算式を頭にいれて、目標収入から逆算して仕事量を考えましょう。たとえば月10万円稼ぎたいなら、1文字1円の案件で1万文字×10本仕上げるといった具合ですです。自分の得意な分野で、単価と作業時間のバランスを見極めることが大切です。
さわだまい:どんなに文章力があっても、興味のないジャンルや苦手な分野だと筆が進まないこともありますよね。自分の得意分野や興味のある分野の案件を見つけることも、継続していく上では非常に大切です。
yonecoさんの可能性は無限大!資格が輝くライター分野
飛鳥さん:yonecoさんの場合、FPや宅建といった資格を活かして、不動産系・金融系のライターに挑戦するのが良いと思います。“資格合格体験記”ももし募集があれ、権威性もたしかなので評価されやすいでしょう。
さわだまい:整理収納アドバイザーや愛玩動物飼養管理士の資格も、暮らし系のジャンルで活かせますね!ペット関連の記事や、収納術・片付けに関する記事なども書けるのではないでしょうか。「専門家」としての知識だけでなく、「実際に経験した人」の等身大の言葉を求めているクライアントや読者は確実にいます。yonecoさんの経験そのものが、ライターとしての武器になりますよ。
ライター初心者におすすめの本は?


yonecoさん: 最近、『新しい文章力の教室』という本を買ってみました。
さわだ: いい本ですよね!私もライターを始めた頃に読みましたし、今でも参考にしています。Webライティングの基礎を学ぶなら、『沈黙のWebライティング』もおすすめです。SEO(検索エンジンで上位表示させる技術)や記事構成の考え方がストーリー形式で学べます。また、Web記事は商品やサービスを紹介することも多いので、読者の心を動かす文章術として『セールスコピー大全』なども参考になると思います。
AI時代でも「書く仕事」はなくならない?ライターの価値とは
さわだ: 最近はChatGPTなど生成AIの進化が目覚ましいですが、ライターの仕事への影響はどう思われますか?
飛鳥さん: 僕自身、AIはリサーチや構成案作成などで積極的に活用しています。ただ、特に法律のような専門分野では、情報の正確性が命です。現時点では、AIが生成した文章を鵜呑みにすることはできず、人間の専門家によるファクトチェックや監修が不可欠です。もちろん、将来的にAIがさらに進化すれば状況は変わるかもしれませんが、今は『今できること』、つまり質の高い記事を書くスキルを磨くことに集中すべきだと考えています。
AIは便利なツールですが、最終的な責任を持ち、読者に価値を届けられるのは人間のライターです。特に専門性や経験に基づいた独自の見解、読者の心に寄り添う文章は、AIにはまだ真似できない部分でしょう。
それぞれが描く“これから”のストーリー
最後に、お二人の今後の目標について伺いました。
飛鳥さん: 「ありがたいことに、継続してお仕事をいただけるクライアントが増えてきました。次のステップとしては、自分のライターチームを作り、高品質な記事制作を組織的に行える体制を整えたいと考えています。自分の知識や経験を共有しながら、チーム全体で成長していける仕組みを作りたいですね。」
さわだ: ライターとしてだけでなく、後進の育成にも目を向けていらっしゃるのですね!
yonecoさん: 「今日お二人のお話を聞いて、『私にもできるかもしれない』という自信が湧いてきました!まずはクラウドソーシングへの応募から始めて、ブログかnoteで自分の文章を発信することにも挑戦してみます!」
さわだ: 応援しています!私自身、書くことを通して人生が良い方向に変わったと感じています。ぜひ一緒に頑張っていきましょう!
まとめ|資格を「使っていく」ために
資格は、取得すること自体がゴールではありません。**それをどう活かし、「使っていくか」**が重要です。
介護経験を通して自分自身と向き合い、学び続けることで未来を切り開こうとしているyonecoさん。 法務の専門知識と行動力でWebライターとしての道を確立し、さらにチームを率いようとしている飛鳥さん。
お二人のストーリーからは、「どんな状況でも、学び続け、行動し続けることの大切さ」が伝わってきます。
インタビューを通して強く感じたのは、yonecoさんの「今の自分を大切にしながら、未来へ進もうとするしなやかな姿勢」と、飛鳥さんの「紆余曲折を経てたどり着いたからこその、揺るぎない自信と視野の広さです。
Webライターに限らず、何か新しいことを始めるときの「最初の一歩(0→1)」は、誰にとっても勇気がいるものです。そんな時、取得した資格やこれまでの経験が、自信となり、背中を押してくれることがあります。「専門知識がある」「この分野なら語れる」という事実は、クライアントへのアピールポイントになるだけでなく、自分自身の心の支えにもなるのです。
yonecoさんのように、「ちょっと気になるな」という小さな好奇心を大切にして、まずは一歩踏み出してみませんか?
あなたの持っている資格や経験も、きっと誰かの役に立つ「書く力」に変わるはずです。