みやぴさんは2024年4月1日、12年間務めた自衛隊を退職し、行政書士とイラストレーターとして独立開業しました。4人のお子さんを育てながら、新しいキャリアをスタートさせた経緯について、お話を伺いました。
前回インタビューはこちら
こんにちは!資格好き主婦のまい(@maisawaco)です。
私は行政書士、宅建、FP、カラーコーディネーター、簿記3級、ビジネス実務法務検定2級など15種類の資格を持つ資格好き。
学生時代の偏差値40台、主婦の立場から、記事寄稿やブログなどで資格試験のノウハウを発信しています。
みやぴさんのプロフィール
【お名前】
みやぴ(@miyapi0321)さん
【職歴】
自衛隊13年→行政書士・イラストレーターとして独立
【取得資格】
行政書士、FP1級、FP2級
【年齢】
33才
【家族構成】
ご主人、小学校3年生、2年生、4歳、2歳のお子さん
イラストレーターとしての実績多数。行政書士としてもさまざまな仕事を受けられて活躍中です。
開業のきっかけ
みやぴさんは、FP1級、行政書士の資格を持っていますが、もともと独立志望であったわけではありません。「自衛隊で一生働く」と思い勤め、資格取得はあくまで自己啓発の一環でした。
そこからどうして行政書士×イラストレーターとして開業に至るのか、エピソードをお伺いしました。
異動を機に職種が変化 自分の目指す働き方と職場とのギャップを感じた
―――行政書士を取得しても、独立開業は考えていなかったそうですね。どのような心境の変化で、退職から独立開業に至ったのでしょうか。
みやぴさん:自分のやりたいことと職場の環境がだんだんマッチしなくなってきたのが大きかったですね。
最初の10年半は茨城で経理の仕事をしていたんですが、その後沖縄へ転勤になり、同じ年に出産もして、行政書士試験にも合格して…。転勤のたびに新しい仕事を任されるようになり、「これからもずっとこんな風に新しい仕事ばかりやっていくのかな」と思い始めた時期がありました。
私の年齢になってくると、周りが二極化してくる時期なんです。まだ結婚もしてなくて子供もいなくてバリバリキャリアアップしている人と、結婚して子供が生まれて時短を取ってキャリアは程々にして家庭優先の人。あとは子供がいても両親に面倒を見てもらってキャリアを維持する人とか。
私は4人の子供がいて、育休はなるべく取りたくない、すぐ職場復帰したい。でも周りには頼りたくないという、ちょっと変わった性格でした。周りの認識と自分の目指す働き方のギャップが大きくなってきて、組織に求めるのは違うと思い、自分が変わる必要があると考えました。
そこで取得していた行政書士と、すでにボランティアでプロと仕事をしていたイラストレーターとして開業するというアイデアが出てきたのですね。
わずか2ヶ月での退職決断
―――退職を考え始めてから実際に辞めるまで、どのくらいの期間でしたか?
みやぴさん:2ヶ月くらいですね。来年の異動の話が出たところがきっかけでした。年の途中で辞めると代わりの補充がないので迷惑をかけてしまうと思い、3月末での退職を決意しました。1月半ばくらいに決めて、開業準備も退職の引継ぎも急いでバタバタとやりました。
独立開業の決め手は臨時収入
―――開業を決断できた理由は何だったのでしょうか?
みやぴさん:一番は開業資金と生活費の面ですね。たまたま臨時収入があって、家族6人の1年間の生活費以上のお金が入りました。「これ、開業しろって神様が言ってるんじゃない?」って(笑)。そういう後ろ盾があったので踏み切れた部分が大きいです。
普通は収入が減ることを考えると怖いと思います。私みたいな凡人は新しいことを始めようと思ったら絶対に収入は維持できないので。そういう意味では、偶然が重なったので開業に至った部分が大きく、偉そうなことは言えないですね。
高額な臨時収入は羨ましい!と同時に、いろいろなことが重なったタイミングで、まさに「機が熟した」神様が背中を押してくれるような出来事であったと感じます。
開業準備から兼業のバランスについて
さまざまなことが重なり、退職→開業準備を始めたみやぴさん。開業準備についてお聞きしました。
開業はレンタルオフィス 最小限の費用で
―――開業準備はどのように進められましたか?
みやぴさん:住んでいる場所が賃貸なので、近くのレンタルオフィスを借りることにしました。月3万円くらいです。プリンターも使えて家からも近かったので。
開業費用は行政書士の登録料が30万円くらい。それから、パソコンを買い替えて、モニターも購入。鍵付きキャビネットなど……。事務用品含め退職金で賄えました。
あとは法人会や商工会議所にも加入しましたね。商工会議所からはイラストの仕事も行政書士の仕事も来ていて、若手の方も多くて話が通じる人も多いので、入っていてよかったです。
商工会もおすすめなんですね!
現在の仕事バランス
―――みやぴさんはイラストレーターとの兼業ですが、現在のお仕事のバランスはどのような割合ですか?
みやぴさん:仕事の時間配分は行政書士とイラストレーター、半々くらいです。
収入は、行政書士業に比べるとイラストレーターの仕事は1件数千円程度なので差があります。でも最近、法人の顧問イラストレーターとして継続的な仕事をいただけるようになって。コンスタントにお仕事をいただけています。1件当たりの報酬は下がりますが、こういった付き合いは今までなかったので嬉しいですね。
行政書士の仕事は、今はいろいろな依頼をいただいたものに対応している段階で、まだ専門分野は決めていません。初めて扱う案件ばかりですが、正直に「初めての対応なので時間がかかるかもしれません」と伝えるようにしています。
開業半年の収益
みやぴさん:今年は旦那さんの扶養に入ることにしています。収入を稼ぎたくて独立した人と、私みたいに好きなことをやりたくて独立した人では、稼ぐペースも違うと思います。今は収入よりも、公務員時代にできなかったことをやりたいんです。
イラストレーターとしての仕事も、公務員時代は副業もできなかったので。2、3年後には公務員時代の収入を超えたいという目標はありますが、今は自分のやりたいことをやっている状態です。
行政書士としての営業活動
士業での開業は仕事をもらうまでが大変、というイメージがあります。一方、みやぴさんは現在まで困ることなくお仕事が舞い込んでいるよう。集客についてもお聞きしました。
予想以上の手応え:開業半年の現在
―――開業されて半年が経ちましたが、お仕事の調子はいかがでしょうか?
みやぴさん:正直、思ったより仕事が来るなという印象です。私でさえ手が回らない時期があるくらいです。専門分野を極めて本格的に営業活動をする方なら、もっとすぐに仕事が来るのではないでしょうか
独自の営業スタイル:押し売りはせず、つながりを大切に
―――すごいですね!!!どのような営業をしているのかお聞きしてもいいですか?
みやぴさん:士業というと、昔ながらの「飛び込み営業」のイメージもあるかと思いますが、私はしていません。以前は試みたことがありますが、1件目でへし折れてしまい、私には向いていないと悟りました。
今は営業目的で人と会うのではなく、とにかく人との出会いの数を増やすことに注力しています。何かあった時に思い出してもらえることを目指して、活動の場を広げています。
「人と人とのつながり」大事ですね
ホームページとSNSの効果的な活用
―――ホームページやSNS営業についても教えてください。
みやぴさん:ホームページは名刺の裏にQRコードを載せて、「サイトがある」という信用のためだけに用意しているような状態です。SEO対策などは特に意識していません。ただ、先輩の中には相続関連で検索上位に表示される方もいらっしゃいますね。今は手をつけられていませんが、収益が出てきたらぜひ充実させたいポイントです。
みやぴさん:またInstagramもやっていて。フォロワーは200人程度ですが、それでも問い合わせが来ることがあります。実際に1、2件ほど仕事に繋がった経験もあります。(後述する)バーで働いていると、インスタグラムの交換が自然な流れとしてあり、自営業の方々からも「絶対やった方がいい」とアドバイスをいただいて始めました。
沖縄では、SNSだけで集客しようとしても、県外の方が多くなってしまい、実際の仕事に繋がりにくい面があります。その点、直接人と会う方が効果的だと感じています。Instagramでは、地元の自営業の方や飲食店経営者との繋がりを重視していますね。
バーで働く行政書士!?偶然が導いた新たな可能性
―――先ほど、バーで働いているというお話がでましたが。バーの仕事を始められたきっかけを教えていただけますか?
みやぴさん:お客さんとして飲みに行った先で、「行政書士をやっていて、人脈を広げたい」という話をしたところ、「じゃあうちで働いたら?」と声をかけていただきました。お酒が好きなので、お酒も飲めて、給料ももらえて、名刺も渡せる。最高だと思いました(笑)
バーのお客様には飲食店を経営されている方やキャバクラ経営者など、経営者の方が多いんです。そこで開業支援の話をいただいたりもします。私自身、そういった方々をサポートする行政書士になりたいと考えているので、とても良い機会になっています
現在は週2、3日ほど、夜10時から朝6時まで勤務。家族の協力を得ながら、独自のワークスタイルを確立されています。沖縄という地域特性を考慮した、独自の営業戦略も特徴的です。
3つの職業がもたらす相乗効果
行政書士×イラストレーターのダブルワークかと思いきや、まさかのトリプルワークであったみやぴさん!3つの職業について、深堀してみました。
かけ持ちのメリット・デメリット
―――行政書士、イラストレーター、バーテンダーという異なる職業の掛け持ちについて、メリットやデメリットを教えていただけますか?
みやぴさん:それぞれの仕事が相乗効果を生んでいます。行政書士の仕事を依頼してくれた方がイラストの仕事も依頼してくれたり、その方がバーに遊びに来てくれたり、さらに他のお客様を連れてきてくれたり。デメリットは時間が足りないことです。でも、時間は確かにないですが、私の中では今が一番バランスが取れている気がしています。
ワークライフバランス:以前より充実
またみやぴさんは公務員時代と比べ、時間の使い方に柔軟性が出てきたといいます。
みやぴさん:朝8時から夕方5時までは行政書士かイラストレーターの仕事をして、それ以降は家族の時間に充てています。土日も家族と過ごせますし、子どもの予防接種や通院にも余裕を持って行けるようになりました。平日でも整体に行けたりと、融通が利くようになりましたね。
今後の展望と課題
開業半年。扶養に入りワークライフバランスを意識しつつ、営業活動も順調なみやぴさん。行政書士の兼業の可能性を感じます。
今後の展望についてもお聞きしました。
2年目からは収益面も注力 ブランディング戦略も
みやぴさん:2年目からは収入をどう上げていくかを考えていきたいですね。ただし、体を壊さないように気をつけながら。3つの仕事は当分続けていく予定です。特にバーの仕事を通じた独自のブランディングは、もっと確立させていきたいと考えています。
当初はバーの仕事は行政書士として収入が安定したら辞めようと考えていました。でも今は、『夜バーにいる行政書士』というブランディングもアリなんじゃないかと。夜の飲食帯の方々の中で『あそこのバーで働いている行政書士がいい』という評判を作っていきたいですね。
イラストレーターとしての活動は、法人契約もあるものの、収入を上げるのが最も難しいと考えているそうです。
みやぴさん:イラストの仕事は、コンテンツの1つとして楽しんでもらえればいいと考えています。これからも型にはまらない、独自の道を歩んでいく予定です。
行政書士は兼業でも働ける「面白さ」がある
みやぴさんのお話から、行政書士としての独立開業は、必ずしも従来型の営業スタイルや専業にこだわる必要がないことがわかりました。むしろ、自身の興味や経験を活かした独自の営業戦略や、複数の仕事を組み合わせたワークスタイルが、新たな可能性を広げる鍵となっています。
開業半年でも仕事に困らないみやぴさんの成功の背景には、「押し売りはせず、人とのつながりを大切にする」という自然体の営業スタイルがあります。また、ワークライフバランスを重視し、収入は扶養内に抑えながらも自分のペースで成長を目指すという堅実な姿勢も特徴的です。
自分らしい営業方法で、自分のライフスタイルに合ったお仕事をしていけたらいいですね
行政書士資格の取得を考えている方、開業を検討している方にとってもきっと参考となったのではないでしょうか。あなたらしい行政書士としての道を、ぜひ一緒に探っていきましょう。