こんにちは。資格好きライターのまい(@maisawaco)です。私は、事務職10年の経験を持ち、現在はWeb業界で働いています。
最近、ChatGPTやその他のAI技術の進展により、「事務職はなくなるのではないか」という不安の声をよく耳にします。確かに、多くの業務が自動化される流れは避けられません。
しかし、私の経験から言えば、事務職の将来はそれほど悲観的なものではないと考えています。
今回は、実際の企業での導入事例とともに、AI時代における事務職の未来について、解説していきます。
こんにちは!資格好き主婦のまい(@maisawaco)です。
私は行政書士、宅建、FP、カラーコーディネーター、簿記3級、ビジネス実務法務検定2級など15種類の資格を持つ資格好き。
学生時代の偏差値40台、主婦の立場から、記事寄稿やブログなどで資格試験のノウハウを発信しています。
AI導入で変わる事務職
事務職の未来は、いったいどうなっていくのでしょうか。まずは現在、事務職の仕事がAI導入によってどのような変化をきたしているのか見ていきたいと思います。
RPAによる業務効率化の成功事例
まずはすでに結果が出ているRPAの事例を見ていきましょう。
RPA(Robotic Process Automation)は、定型的な事務作業を自動化するソフトウェア技術です。人間の操作を模倣し、高速かつ正確にデータ入力や転記を行います。24時間稼働可能で、人的ミスを減少させ、従業員は付加価値の高い業務に集中できます。企業の業務効率化やデジタルトランスフォーメーションに貢献する重要なツールです。
実際の企業での導入事例を見てみましょう。
三井住友銀行では、2017年からRPAを本格導入し、業務効率化を図りました。その結果、2019年度までに1,750人相当、350万時間という膨大な業務量を削減することに成功しています。
さらに、2020年度からの3年間で、三井住友銀行単体で150万時間、三井住友ファイナンシャルグループ全体で300万時間、1,500人相当の業務量削減を見込んでいます。
1500人相当の仕事がなくなるってことだね
SOMPOホールディングスグループでは、RPAを活用して業務効率化を推進しています。損保ジャパンでは2018年4月に「業務改革推進部」を設置し、全社横断でAI・RPAの導入を進めました。コールセンターや保険金支払拠点にAIを導入し、本社部門の定型業務を自動化。その結果、約12万時間の業務効率化を実現し、従業員は付加価値の高い業務に集中できるようになりました。セゾン自動車火災保険でも2018年4月からRPAを全社展開し、300名のスタッフの業務改善に取り組んでいます。
既に自動化されている業務の例
事務職の仕事内容は、AIをはじめとするテクノロジーの進歩により大きく変化しています。たとえば以下ような領域において、自動化が著しく進んでいます。
- データ入力作業:OCR(光学文字認識)とAIを組み合わせることで、紙の文書やPDFからのデータ入力が自動化されています。例えば、請求書や申込書のデータ化が、人手を介さずに行えるようになりました。
- スケジュール管理:AI秘書ツールの登場により、複数人の予定調整や会議室の予約が自動で行えるようになっています。空き時間の確認から、外部関係者との調整まで、AIが効率的に処理します。
- 経費精算業務:スマートフォンで領収書を撮影するだけで、金額、日付、支払い先などが自動で認識され、経費データとして処理されます。経理部門の確認作業も大幅に効率化されています。
- 定型文書作成:テンプレートとAIを活用することで、報告書や議事録などの定型文書が自動で作成できるようになっています。過去の文書をもとに、適切な文言を自動で提案する機能も一般的になってきました。
これらの自動化により、事務職の役割は「作業の実施」から「システムの管理と改善」へとシフトしつつあります。
事務員は、もう「作業をする人」ではなくなってきているんだね
なくならない!中小企業における事務職の重要性
テクノロジーによって、業務効率化がさらに進んでくると、もう事務職はいらないのではないかという声も出てきます。
私が、社労士法人で働いており経理のアウトソーシング事業と同じ部屋で作業を行っていた7年前からそれらのことは言われていました。
さていよいよ事務職はなくなっていくのでしょうか。私は、事務職は形がかわれど、完全になくなることはないと考えています。
理由は以下です。
人間による判断が必要な場面
事務職は、業務の中で人間としての判断が必要な場面が多くあります。
株式会社帝国データバンクの調査によると、中小企業の約65%が「完全なデジタル化は困難」と回答しています。その理由として多く挙げられたのが、「人間による柔軟な対応の必要性」でした。
たとえば、ある地方の中小企業では、受発注業務のデジタル化を進めながらも、ベテラン事務職員による「目配り」や「気配り」が会社の強みになっているといいます。得意先からの急な仕様変更依頼に対して、システムでは対応できない細かな調整を、経験豊富な事務職員が行うことで、顧客満足度を高く保っているのです。
コミュニケーションの重要性が増す職場
ある都内のIT企業では、チャットボットによる問い合わせ対応を導入しましたが、従来の電話対応も並行して継続しています。特に高齢の顧客や複雑な案件の場合、人間による丁寧な説明と対応が必要だからです。
実際、導入から1年後の顧客満足度調査では、「人間による対応」の満足度が95%と、チャットボットの75%を大きく上回りました。
3. 業務の「すき間」を埋める統合力
中小企業では、少人数で多様な業務をカバーする必要があり、各部署や業務間の「すき間」を埋める役割が重要です。営業部門と製造部門の間の調整を事務職社員が担当しているような会社では、受注情報の微妙なニュアンスを理解し、製造現場に的確に伝えるという業務もあります。事務職が適正な仕事をすることで、クレームの発生を削減することができてます。
システムだけでは拾いきれない情報や、部署間の微妙な調整が必要な場面が日々発生します。そういった場面で、状況を見極めて適切に対応できるのは、やはり人間ならではの能力です
4. リスク管理とコンプライアンスの要
特に中小企業において、事務職はリスク管理とコンプライアンスの重要な担い手となっている場合もあります。
たとえばある卸売会社では、取引先との契約書作成をAIで自動化しましたが、最終確認は必ず事務職社員が行っています。取引特有の条件の確認、さらには相手企業との関係性を考慮した細かな文言の調整はAIには難しいためです。
AIとのダブルチェック体制により、契約トラブルを事前に防ぐことができるのです。
求められる新しいスキルセット
事務職が完全にAIに代替されることはないからといって、今のままの仕事のスタイルを続けていくことはほぼないでしょう。これからは、事務職は必ずAIと共存していくことになります。
事務職は新しいスキルセットを身に着ける必要があるのです。
AIツールを使いこなす能力
深刻な労働力不足が予測される日本では、AI活用スキルを持つ人材の価値が急速に高まっています。内閣府の予測によると、2050年までに生産年齢人口が約30%も減少するとされる中、企業はAI技術を活用して生産性を向上させることが急務となっています。
一方で、AI人材の需要は供給を大きく上回っており、多くの企業がAI活用のできる人材の確保に苦心しているのが現状です。このような状況下で、従来の事務作業に加えてAIツールを効果的に使いこなせる人材は、極めて重宝される存在となるでしょう。
特に中小企業では、専門的なAI人材の採用が難しい分、既存の社員、とりわけ業務全体を把握している事務職社員がAIスキルを身につけることへの期待が高まっています。
実務経験とAI活用能力を兼ね備えた人材は、今後ますます貴重な存在となっていくのです。
習得すべき具体的なスキル
では、具体的にはどんなスキルが求められているのでしょうか。順番に見ていきましょう。
1.データ分析・活用力
2.AI・RPA活用力
3.例外対応力
4.マネジメントスキル
1. データ分析・活用力
データは企業の財産です。データ分析、データマイニングに強い事務職は、かなり重宝されるでしょう。
- Excelのピボットテーブルやグラフ機能の活用
- 基本的な統計知識(平均、中央値、標準偏差など)
- データの可視化技術(グラフ選択、効果的な表現方法)
この知識があると、どのような仕事が可能になるかもご紹介します
活用事例
月次報告書の作成時に、売上データの傾向を分析し、AIが予測した将来予測と組み合わせて説得力のある提案資料を作成。経費精算データからムダを発見し、コスト削減施策を立案。製造現場の稼働データを分析し、生産性向上のボトルネックを特定。
もう単なる事務職じゃあないね
関連資格:
- 統計検定
- データサイエンティスト検定
- Excelビジネスデータ分析ベーシック
2. AI・RPA活用力
- 基本的なRPAツールの操作(UiPath, Power Automateなど)
- AIツールの特性理解(得意分野・不得意分野の把握)
- 自動化可能な業務の選定・判断能力
これからの世界は、AIに苦手意識がある人とどんどん使いこなしていく人に2分されていきます。基本的なAI知識があるだけでも、企業にとっては嬉しい人材です。
AIツールを業務改善まで落とし込む知識とやる気があれば、業務に大きく貢献できるでしょう
活用場面:
請求書処理の自動化により、経理部門の作業時間を50%削減。カスタマーサポート業務にAIチャットボットを導入し、定型的な問い合わせ対応を自動化。人事部の採用業務において、応募者の書類スクリーニングをAIで効率化し、面接時間の確保。
関連資格:
- G検定
- ITパスポート
3. 例外対応力
- 柔軟な状況判断力
- クリティカルシンキング
- 問題解決能力
自分で考え、臨機応変に対応できる力は、ルーティン業務をAIに任せるようになる今後の社会において人間だからこその能力として重宝されます。
たった1つの事例でも大きなインパクトを残せば、企業は「ぜひこの人に居続けてほしい」と思うはずです。
活用場面:
トラブル発生時の迅速な代替手段の提案と実行。AIが対応できない特殊な顧客要望への柔軟な対応。データ入力ミスや異常値を発見し、原因究明と再発防止策の立案。複数部署に影響が及ぶ問題発生時の調整と解決。
関連資格:
- ビジネス実務法務検定
- 秘書検定
- プロジェクトマネジメント・スペシャリスト(PMS)
4. マネジメントスキル
- スケジュール管理・進捗管理
- リスク予測・対応能力
- チーム内のコミュニケーション調整
事務部門でも、管理職クラスはマネジメントスキルを求められます。AIは、スケジュール管理はできてもコミュニケーションはできません。また責任も負うことはできません。タスクを理解し、利害関係者との調整を行うのも事務部門の管理職の大切なスキルです。
活用場面:
スケジュール作成とステークホルダー間の調整。部署横断的な業務改善プロジェクトのリード。AI導入に伴う業務変更時の研修計画立案と実施。予算や人員配置の最適化提案と実行管理。
関連資格:
- プロジェクトマネジメント・プロフェッショナル(PMP)
- CAPM(Certified Associate in Project Management)
実践力を身に着けるなら
AI知識を早く身に着け、替えのきかない人材へのスキルアップを考える人もいるでしょう。
すぐに現場に活かせる実践力を身に着けるのなら、生成AI活用に関するスクールの受講が効果的です。
今回は、生成AI活用オンラインスクールの1つDMM生成AI CAMPをご紹介します。
DMM生成AI CAMPは、生成AIを活用するためのプロンプトエンジニアリングを習得できるオンラインスクールです。カリキュラムは3つのコースに分かれており、それぞれに特化したスキルが身につきます。
- 基礎マスターコースでは、生成AIの基礎知識とプロンプトエンジニアリングのスキルを学びます。議事録の自動生成や書類の作成自動化などの業務効率化のための技術を習得できます。
- マーケティングコースでは、生成AIをマーケティング業務に活用するためのスキルを学びます。市場分析やペルソナの設計、SEOコンテンツの制作などの技術を習得できます。
- 営業コースでは、生成AIを営業業務に活用するためのスキルを学びます。リード顧客獲得のための戦略立案や顧客への提案資料作成、カスタマーサポートなどの技術を習得できます。
事務の場合は、基礎マスターコースがおすすめですが、これからのキャリア形成のためにマーケティングや営業スキルを磨く、という道ももちろんあるでしょう。
実践的なAIスキルは、間違いなく今後の武器になっていきます。興味がある方は、ぜひ無料相談を受講してみてください。
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事務職に未来はある
事務職は確かに変化を迎えていますが、「なくなる」のではなく、「進化する」と考えるべきではないでしょうか。
特に中小企業では、以下の理由から事務職の重要性は今後も続くと予測されます。
- 人間的な判断とコミュニケーションの必要性
- コスト面でのフルデジタル化の難しさ
- アナログとデジタルのハイブリッドな対応の重要性
現在事務職の方は、事務職に就こうとされている方は、変化を恐れずに、むしろチャンスととらえることが大切です。
世の中全体では、人材は不足しています。年齢による転職の難易度も近年急速にかわっています(40、50代を採用しないことが「時代遅れ」と言われる時代に突入しています)高いスキルを持った事務職員は、何歳になっても重宝されるでしょう。
過ごしやすく良い職場でたのしく事務職をしていくために、自身のキャリアをアップデートするチャンスととらえてみてはいかがでしょうか。
参考資料
- 総務省「令和5年版 情報通信白書」
- 経済産業省「DXレポート2」
- 株式会社帝国データバンク「中小企業のデジタル化に関する実態調査」
- ※本記事は、2024年4月時点の情報を基に作成しています。