こんにちは。資格好き主婦のさわだまいです。
今回は、法律事務職員(パラリーガル)との兼業で行政書士事務所を開かれている、Mai先生にインタビュー後編。兼業での働き方と、行政書士として開業したい方へのアドバイス、女性がキャリア形成をしていく上でのポイントとなる考え方をお聞きしています。
前編の様子はこちら
働き方や時間管理についてもためになるお話盛りだくさんなので、特に同世代の女性の方はぜひチェックしてくださいね。
Mai先生のプロフィール
【お名前】
Mai先生:(@maimain_gyosei)
にしのみや福祉はやて行政書士事務所 齊藤麻依先生
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【職歴】
アパレル接客業
結婚相談所のウェディング事業部
歯科技工所事務員
法律事務職員
行政書士として開業
【取得資格】
行政書士(令和3年度合格して、令和4年度開業)
【年齢】
40代
【家族構成】
ご主人、中学2年生、小学6年生のお子さん、ワンちゃん
合格後すぐに開業!兼業での行政書士のスタートは?
Mai先生は、法律事務所勤務時の令和3年度試験に合格後、令和4年に開業されています。法律事務所に週4日勤務の兼業での開業です。
開業時の様子や、働き方についてお伺いしました。
とにかく時間がない!時間をお金で買う営業方法
――開業後、お仕事はいかがでしたか?営業活動について、具体的にどのような取り組みをされてきたのでしょうか?
Mai先生:営業は本当に苦戦しました。子育てをしながら法律事務所でも働いているため、従来の「人脈づくり」や「飲み会などの営業活動」は難しかったんです。そのため、初年度は時間をかけずに、お金で解決できる営業法に注力しました。
例えば、最初の1年はウェブの仕事紹介サイトを100%活用していました。依頼が成立した際に広告料を支払う仕組みのサイトで、自分で動かなくても営業できる方法です。
2年目からは、地域の広報誌に広告を出したり、チラシを作成してポスティング会社に依頼したりしました。特に、ウェブの紹介サイトを通じて徐々に口コミが広がり、そのサイトを見た人が直接検索して依頼してくるケースも出てきました。
―――なるほど。仕事紹介サイトの活用ですね!Mai先生のお人柄なら、口コミで良い評判が広がりそうです。予想外の効果はありましたか?
Mai先生:はい、ウェブ紹介サイトでの口コミ効果は想像以上でした。最初は単純に仕事を得る手段と考えていたのですが、サイト経由で依頼が来るだけでなく、そこから直接検索して来てくれる方も増えてきたんです。
特に期待していなかった方向で、徐々にお仕事をいただけるようになってきました。まだまだ仕事量を増やしたいという思いはありますが、兼業しながらでも着実に実績を重ねています。
開業後の最初の業務→専門分野を絞る決断へ
―――時間をお金で買う効率的な営業方法が功を奏していますね!開業後、最初のお仕事はどのようなものでしたか?
Mai先生:最初のお仕事は遺言書の作成でした。開業準備の際は特に具体的な業務内容を考えていませんでしたが、法律事務所で働きながら、週4日の勤務という時間的制約もあり、専門分野を絞る必要性を感じていました。
週4日の勤務という制約上、新しい分野の業務をその都度学ぶ時間的余裕がありません。また、ベテランの行政書士に相談したところ、初めての業務は共同受任することが推奨されましたが、平日は法律事務所で働き夜は子育てもあるため、そういった共同受任は現実的ではなかったんです。
なので、既に法律事務所で経験のある相続や遺言の分野に注力することにしました。効率良く専門性を磨くため、法律事務所での経験を活かせるよう、行政書士の業務内容が大きく離れないよう心がけています。
また、私が扱っている相続の分野のクライアントはお仕事をされている方とか、ご高齢の方も多いです。土日に動ける方がむしろ重宝されます。許認可などは、逆に役所の開いている平日に動かなくてはならないのでミスマッチを感じるため、この分野に特化して良かったと思います。
逆に平日の昼間に動ける人ならば許認可をメインに行うのが良いなど、ライフスタイルによって専門分野を決めていくのも良いと思います。行政書士は多様な働き方が可能ですね。
行政書士として開業、法律事務所での仕事内容は?
法律事務職員との接点
――Mai先生は現在、法律事務所でパラリーガルとしても働かれています。事務所の業務を教えてください。
Mai先生:私が勤務している事務所は少し特殊で、成年後見の案件が非常に多いんです。通常の法律事務所とは少し異なり、成年後見人の方々の日常生活を支援することが中心となっています。例えば、さまざまな行政手続きや日々の支払い関係のサポートなどを事務員として行っています。
――行政書士の業務との接点がありそうですね
Mai先生:確かにいくつかの接点があります。様々な申請業務などを通じて、行政書士の仕事に近い領域も経験しています。相続や遺言といった民事法務を中心に活動しているので、法律事務所での経験を活かせている部分は多少ありますね。
――業務上直接の関わりはあるのでしょうか
Mai先生:行政書士の資格を取得した当初は、法律事務所で自分にできそうな案件を任せてもらい、弁護士の先生が本来の業務に集中できるようなWin-Winの関係を想像していました。しかし、実際には弁護士の先生から「簡単な案件でも任せられない」と言われた経験があります。
今から考えれば当たり前なのですが、法律事務所に依頼に来るクライアントについて、いくら行政書士が対応可能な内容だったとしても、クライアントは弁護士に依頼に来ているのですから、サービス上行政書士に回すことはできませんよね。
そのため、もちろん紛争が懸念される案件などはこちらから弁護士の先生に依頼することになりますが、通常業務上で案件が行き来することはありません。
兼業のメリットは「たくさんの案件に携われること」
――たしかに。そうですね。法律事務職員と行政書士の兼業のメリットを感じることはありますか。
Mai先生:メリットとしては、たくさんの案件に携われることです。私が専業で行政書士の仕事をできるとしても、1人で経験できる案件の数は限られると思うんです。しかし、私は今の事務所にいることで1ヶ月20件以上の仕事に関われる。事例を見させてもらえるということが1つあります。
そうは言っても、そこまで打算的な人間でもなくて、単純に今の事務所が働きやすいという面も大きいです。
単純に居心地が良いのでやめたくない。行政書士の仕事も好きなので、身体が2つあったらどちらも全力で取り組みたいです。
でもそうもいかないので、今の兼業という働き方でどちらもセーブしつつ、売上を伸ばしていくのが目標です。
―――デメリットはありますか?
Mai先生:課題はあります。特に仕事の波の調整が難しいですかね。法律事務所の繁忙期と行政書士としての単発業務が重なると、スケジュール管理が非常に複雑になります。全く仕事がない時期もあれば、逆に仕事が重なって調整に苦労することもあります。
忙しい兼業行政書士 工夫していることは?
――日々お忙しいと思うのですが、何か工夫していることはありますか?
Mai先生:すき間時間で業務ができるようには工夫しています。スマホで進捗を見れるように整備したり、ファックスの内容もスマホで投げたりとかもしています。
家のことはもう手抜きすぎなくらい手を抜くように。食事は宅配サービスとか。
また、時間が無限にあると、すべてを業務に充ててしまいがちです。そこで私は、15分や25分、あるいはそれ以上ですが、とにかく限られた時間の中で最大限のことをやるよう心がけています。例えば、会場を予約して、その期間にできることを集中的に詰め込んでいくスタイルです。
忙しい中では、考える時間がもったいないので。むしろ「思い立ったらすぐ行動」も心がけています。
兼業行政書士としての今後の展望
―――行政書士としての今後の展望はいかがでしょうか。
Mai先生: 同期のこあみ先生とこの秋に共同事務所を開所したので、そちらを頑張っていきたいです。現在は遺言相続に特化していますが、将来的にはこあみ先生の専門分野でもある障害福祉の分野も学んでいきたいと考えています。一人で活動するよりも、同僚とサポートし合える環境は、依頼者にとっても大きなメリットがあるので、可能性を感じています。
――共同事務所について教えてください。
Mai先生:一人で活動する場合、フットワークは軽いですが、何かあった時の不安定さもあります。例えば、自分に何かあった時に依頼者の方々はどうするでしょうか。共同事務所であれば、お互いにサポートし合える相乗効果が期待できます。西宮を中心とした地域密着型の事務所運営を目指しています。
行政書士を目指す方へのアドバイス
―――行政書士の資格取得と、その資格を活かしたキャリア形成について、どのようなアドバイスがありますか?
Mai先生: 行政書士は非常に幅広い資格で、さまざまな背景や経験を持つ人が活躍できると思います。20代のうちは資格をどんどん取っていくなど取得に積極的に取り組むのも良いと思うのですが、30代、40代では自分の経験と資格を組み合わせることが重要かなと感じています。
私みたいな相続遺言関係をしている人は士業の事務所で働いていました、みたいな人もいるのですが、病院受付や飲食店勤務など、一見関係なさそうな経験も、医療系の許認可や風俗営業の許認可など行政書士の仕事に活かせる可能性があります。
約1万種類の書類を扱うというように、個人の経験や得意分野に合わせて、柔軟なキャリア形成が可能な魅力的な資格だと思います。
女性のキャリアと働き方について
―――働き方やキャリア形成について、何かアドバイスはありますか?
Mai先生:2つありますね。1つは、やっぱり働く時間て人生において長いので、心地よく過ごせるように。自分が楽しいとか、やってみたいとか、挑戦したいと思える仕事ができるようにす。
私は、子どもが出来て、「近い」「働きやすい」というのは優先度が高かったんですが、それでも仕事内容は選んでいたと思います。やっぱり自分の中で「事務職」というキャリアを作りたいと思っていました。
ライフスタイルやライフイベントによって、働きやすさももちろん重要なのですが、その中で少しでも「こんなふうになりたいな」「こんなキャリアにつなげていきたいな」というものを選んでいくことが大事だなと思っています。
もう1つは、長期的な意識と同時に、その時々でスパッと決断して行動に移す行動力も大切だと思います。考えることも大事なのですが、どんどん時間が経ってしまうので。その時々で考えて、行動してしまう。私であれば「セミナーしたい」と思ったら、とりあえず会場を予約してしまう。あとは予約日までに間に合わせるよう、どんどん行動していく。といったようにです。
やってみたいと思ったことも、ぜひ行動に移してみてください。
私みたいに正社員でなくても全然かまわないと思います。週1、2のパートでも、ボランティアでも。例えば1ヶ月くらいでやめてしまったとしても、その経験は生まれるので。0だと全くわからないけど、「1ヶ月やった」という経験は生まれるわけです。
人それぞれのペースがあり、そちらでかまわないので、とにかく何かをやってみるということが大切だと思います。
感想
Mai先生のお話から、限られた時間の中で最大限の効果を発揮できるよう、積極的に行動する大切さを学びました。
「一番多忙な人が一番多くの時間を持つ」というように、Mai先生は営業活動や専門分野の決定など、効率的な戦略で活躍の場を広げていっています。
また、さまざまな経験が活きる行政書士の魅力も語っていだきました。キャリアの紆余曲折があっても、その経験を糧に活躍できるのが行政書士という資格なのですね。
ライフステージもかわり、仕事において求めるものが変わることもあり、多くの人にとってキャリアは一筋縄ではないかもしれません。
その時々で希望する方へ動いていく行動力も大切です。一方で、心のどこかで少しでも自分の「こんなふうになりたい」「こうやって生きていきたい」という価値観を意識していくバランスこそが、満足のいくキャリアにつながるポイントだと教えていただきました。
Mai先生、この度は貴重なお話をありがとうございました。
みなさんにとってもこの記事が、何かの役に立てれば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。またどこかの記事でお会いしましょう。