「自宅マンションで開業できれば初期費用が抑えられる!」
「行政書士になりたいけど、事務所を借りる資金がない!」
「でも、うちのマンションで開業できるの?」
そんな疑問にお答えします。
まいこんにちは!まいです
行政書士試験の合格者で、現在は主婦兼ライター。自宅マンションでライター業を開業しています。
行政書士試験に合格したら、次に考えるのが「開業」についてですよね。今回は自宅開業について、特にマンションの場合はどういった点に注意した方が良いのか、法律や規約の根拠もあわせてお話したいと思います。
まず結論から言うと、
- 賃貸マンションの場合は、所有者(大家さん)の承諾が必要(無断の事務所使用は契約違反になるリスク)
- 分譲マンションは管理規約を確認。事務所使用OKの規約なら開業できる
- 多くのマンションは「住宅専用」と定められているため、行政書士事務所としての使用は難しい場合が多い
ということです。



「なぜダメなのか」の根拠も含めて、詳しくみていきましょう!
開業前にマンションのルールを確認する


「まずは金銭的な負担の少ない自宅開業にしよう」と思っても、実はいろいろな問題が出てきます。
マンションの一室を事務所として利用すること自体は、法令上で一律に禁止されているわけではありません。しかし、そのマンションのルール(賃貸借契約・管理規約)に則って利用する必要があります。
- 賃貸→大家さん(所有者)に確認
- 分譲→管理規約をチェック
賃貸の場合:無断の事務所使用は「用法遵守義務」違反になる
賃貸マンション・アパートの場合、賃貸借契約書にはほとんどの場合「使用目的:住居」と定められています。
借主には、契約で定めた用法に従って物件を使用する義務(民法上の用法遵守義務)があります。住居として借りた部屋を無断で事務所として使用すると契約違反となり、最悪の場合は契約解除(退去)を求められるリスクもあります。



「自宅だから自由に使える」わけではないんだね。まずは大家さんに相談!
逆に言えば、大家さんの承諾さえ得られれば問題ありません。後述しますが、行政書士登録の際には建物の「使用承諾書」の提出を求められることもあるので、口頭ではなく書面で承諾をもらっておくのが確実です。
分譲の場合:管理規約の「住宅専用」条項をチェック
購入した分譲マンションの場合は、管理規約をチェックします。管理規約は、区分所有法(建物の区分所有等に関する法律)に基づいてマンションごとに定められるルールで、区分所有者はもちろん、そこに住む人すべてに効力が及びます。
多くのマンションでは、国土交通省が公表している「マンション標準管理規約」をベースに管理規約が作成されています。その標準管理規約(第12条)には、
「区分所有者は、その専有部分を専ら住宅として使用するものとし、他の用途に供してはならない」
という条文があります。



うちのマンションの管理規約にもあったよ
「専ら住宅として使用」ということは、住居としてのみ使用できる、他の使い方はダメ=原則、事務所使用はできないという意味です。
ちなみに、この条項が置かれていないマンション(事務所使用や店舗使用が認められている規約のマンション)であれば、定められた使用用途に反しない限り開業できます。中古マンションを探すと、稀に「SOHO可」「事務所使用可」の物件もありますよ。
住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)は、床面積の2分の1以上が自己の居住用であることなどが適用要件です。自宅の一部を事務所にする場合、事業使用の割合によっては控除額が減ったり、適用が受けられなくなったりする可能性があります。また、金融機関との契約上も「居住用」が前提のローンがほとんど。事業使用を始める前に、税務署・税理士や金融機関に確認しておきましょう。
「住宅専用」でも在宅ワークが黙認されやすいのはなぜ?


マンションの管理規約に「専ら住宅として使用」と書かれていたら、本来は事務所として使用することはできません。
厳密に言えば、在宅ワークや主婦のネット販売なども、本来ならば「規約に書かれているとおりです」でお断りとなりそうなものです。でも実際には、在宅ワーカーやフリーランスがマンションで普通に働いていますよね。
これには根拠があります。標準管理規約の第12条には国土交通省による公式のコメント(解説)が付いていて、そこでは住宅としての使用は「専ら居住者の生活の本拠があるか否か」で判断し、「生活の本拠であるために必要な平穏さを有すること」が基準とされています。
つまり、生活の本拠として住みながら、部屋の平穏さを損なわない働き方(来客なし・看板なし・騒音なしのデスクワークなど)であれば、「住宅としての使用」の範囲内と判断され得るということ。在宅勤務やライター業などが問題になりにくいのは、この考え方があるからです。



私も在宅ワーク(ライター業)での開業なので、管理組合からは「黙認ということになりますね」という回答でした。



たしかに、在宅ワークまで一律NGっていうのは非現実的だよね
逆に言うと、住宅としての平穏さを損なう使い方はNG。具体的には、
×な例
・不特定多数の訪問客がある
・事務所の看板・表札を掲げている
・実態として住居ではなく事務所として使用している
こうした要素があると、「住宅としての使用」とは言えなくなり、規約違反と判断される可能性が高くなります。
「専ら住宅として使用」の解釈については、こちらのブログも詳しくてとても参考になります。
行政書士事務所は原則×になりやすい【2つの法的理由】
では、行政書士事務所はどうなのでしょうか。「住宅としての使用」の範囲で黙認されるかどうか、業態別のイメージで見てみると、
在宅ワーク・クラウドソーシング→△(現状ほぼ○)
エステ→×
ネイルサロン→×
学習塾→×
料理教室→×
といった形です。来客の有無が大きな分かれ目ですね。そして残念ながら、行政書士事務所は「来客型」に分類されやすいのです。理由は2つあります。
- 相談者が訪問する前提の事務所であること…依頼者との面談や書類の授受が想定され、「来客なし」とは言い切れない
- 表札の掲示義務があること…行政書士法施行規則第2条の14により、事務所には行政書士事務所であることを明らかにした表札を掲示しなければならない
「来客がある」「表札を掲げる」——先ほどの×な例にそのまま当てはまってしまうため、多くの管理組合の基準でいくと、残念ながら×になりやすいのです。
さらに、行政書士登録の際には、所属する行政書士会による事務所調査があり、事務所の使用権限を証明する書類(賃貸借契約書や使用承諾書など)の提出を求められる場合があります。「こっそり」では、そもそも登録の段階でつまずく可能性があるということです。
しかし実は、「住宅専用」マンションでも開業されている行政書士もいます。



何でなの?



管理規約はマンションごとのルールで、管理組合が承諾すればOKになるからだよ
最終的には「管理組合次第」。交渉の実例とポイント
管理規約はマンションごとのルールなので、管理組合がOKを出せば開業できることになります。規約自体も、区分所有法の手続き(総会決議)を経れば変更が可能です。
実際に、住宅専用マンションで開業された行政書士の方は、
・副業としての開業であること
・内勤仕事のみで、顧客とは外(レンタル会議室や訪問先)で会うこと
を条件に、管理組合からOKが出たそうです。
他の住民のことを考えると、「不特定多数の人間が出入りしない」ことは絶対条件になるかと思いますが、管理組合によっては、他の住民からの苦情がなければ黙認してくれることもあります。
また、在宅ワークやフリーランスでの開業が当たり前になった昨今をかんがみて、使用用途を限定的に広げるなど、管理規約の変更を検討してくれる可能性もあります。
- 「来客対応は外部の会議室で行う」など、住環境に影響がないことを具体的に説明する
- 表札の掲示方法(自室玄関ドアへの小さな表示など)について、行政書士会にも相談する
- OKが出たら、登録手続きに備えて書面(使用承諾書)でもらっておく



他の住民の方との関係も気になるところだね…
ちなみに、私の住んでいるマンションでは、
「来客がないと言い切れない業種」
「表札を掲げることはNG」
という理由でやっぱり×でした。
行政書士は法規上、表札を出さないわけにはいきませんし、マンションを引っ越すまでの考えはないので、私の場合は自宅の一室で開業という選択はなくなりました。
確認せずに開業するとどうなる?考えられるリスク
「家の中で作業しているだけなら、外からはわからないのでは?」と思うかもしれません。実際、何も起きないケースもあるでしょう。でも、確認せずに開業した場合には次のようなリスクがあります。
- 賃貸の場合…用法遵守義務違反として、契約解除(退去)を求められる可能性
- 分譲の場合…規約違反として、管理組合から使用の停止等を請求される可能性(区分所有法にはそのための規定があります)
- 登録手続き上…事務所の使用権限を証明できず、行政書士登録がスムーズに進まない可能性
- ご近所関係…郵便物の宛名や検索サイト(行政書士会員検索には事務所住所が公開されます)から知られ、住民トラブルに発展する可能性
行政書士は「街の法律家」。ルールを守る側の専門家が、自分の事務所でルール違反をしていては信用に関わります。開業前のひと手間で防げるリスクなので、必ず事前に確認しましょう。
マンションでの自宅開業に関するよくある質問
A.開業届(税務署への届出)と、マンションのルールはまったくの別問題です。開業届が受理されても、賃貸借契約や管理規約に違反していれば契約・規約違反のまま。両方をクリアする必要があります。
A.行政書士の事務所には実体(独立性・守秘性のあるスペース)が必要で、登録時に行政書士会の事務所調査があります。住所貸しのみのバーチャルオフィスでは原則登録できません。事務所を別に構えるなら、個室型のレンタルオフィスなど、登録実績のあるところを選び、所属予定の行政書士会に事前確認しましょう。
A.まだあります。①管理組合に条件付き(来客なし等)で相談する、②総会決議による規約変更を提案する、③自宅近くの個室レンタルオフィスや合同事務所で登録する、という選択肢があります。③の具体的な比較はこちらの記事で解説しています。
まとめ:トラブルを避けるため、開業前に必ず確認しよう
- 賃貸は大家さんの承諾が必要(無断使用は用法遵守義務違反・契約解除リスク)
- 分譲は管理規約を確認(標準管理規約第12条「専ら住宅として使用」が原則)
- 来客なし・表札なしの在宅ワークは「住宅としての使用」の範囲で黙認されやすい
- 行政書士事務所は「来客前提+表札義務(施行規則2条の14)」で原則×になりやすい
- ただし管理組合の承諾や規約変更でOKになる例もある。相談は書面承諾までセットで
「そんなの当たり前のことでは?」と思った方もいらっしゃるかもしれませんが、行政書士の先生やフリーランスで自宅開業されている方の中でも、事前に確認せずに事業を始めてしまう方はいるようです。
同じマンションの住民の方と良好な関係でいるためにも、そして「街の法律家」としての信用のためにも、ルールに従った判断をした方が賢明ですよね。
私もマンション住まいのため、行政書士として開業を考える際は、事務所を借りる、シェアオフィスを使うなど、さまざまな方法を検討したいと思います。自宅開業以外の選択肢については、こちらの記事でまとめています。


それでは!また!













