キャリアコンサルタント試験の結果を見て、「不合格」の文字を目にしたとき、これまで頑張ってきた人ほど、すぐには気持ちを切り替えられないのではないかと思います。
「勉強が足りなかったのかな」
「面接で何がダメだったんだろう」
「そもそも私は、キャリアコンサルタントに向いていないのではないか」
そんなことを、ぐるぐる考えてしまう人もいるかもしれません。
私自身、キャリアコンサルタント試験は第30回で一度不合格になり、第31回で合格しました。
今は合格した立場ではあるのですが、不合格だった直後を振り返ると、「次に向けて頑張ろう」とすぐ前向きになれたわけではありません。
むしろ、「こんなにやったのに、まだ足りなかったのか」「次も同じように落ちたらどうしよう」という気持ちのほうが強かったです。
今回は、一度不合格を経験した立場から、試験に落ちたあとに考えたことや、キャリア支援の実務に少しずつ関わるようになった今だから思うことを書いてみたいと思います。
すぐに再受験を決められない方にも、もう一度挑戦しようとしている方にも。試験の結果と、自分自身のことを少し分けて考えるきっかけになればうれしいです。
キャリアコンサルタント試験の不合格だけで、向き不向きは決まらない

最初に一番伝えたいのは、キャリアコンサルタント試験に不合格だったからといって、それだけで「自分には向いていない」と結論を出さなくてもいい、ということです。
試験には評価基準があります。合格点に届かなかったのであれば、今回の試験で十分に示せなかった知識や技能について、振り返る必要はあると思います。
私自身も、第30回の自分と、第31回に向けて勉強し直したあとの自分を比べれば、後者のほうが面接や論述について理解が深まっていたと感じています。
ただ、試験の結果が、その人の人柄や、これから学んで伸びていく可能性まで評価しているわけではありません。
私は現在、ハロートレーニング受講者へのキャリアコンサルティングなど、人の「働く」を支える仕事に関わっています。
まだ経験を積んでいる途中ですが、実務に関わる中では、試験に向けて学んだことが土台になる一方で、それだけでは対応しきれないこともあると感じます。
相談者一人ひとりの背景や大切にしていることは違います。自分が知らないことに出会い、学び直したり、自分の関わり方を振り返ったりすることも必要です。
合格は大切な節目ですが、そこで支援者として完成するわけではないんですよね。
だから、不合格という結果を、「自分には人を支援する力がない」「これからもできるようにならない」という評価にまで広げなくていいと思っています。
今回、合格基準に届かなかったことと、これからどのような支援者になれるかは、同じ話ではありません。
面接試験には、自分だけではコントロールできない部分もあると感じた

これは私個人の実感ですが、キャリアコンサルタント試験、特に面接試験には、ある程度「運」と呼びたくなる部分もあると思っています。
私が不合格だった第30回では、私の周りで同じケースに当たった仲間が全員不合格でした。そして、そのメンバーは次の第31回では全員合格しました。
もちろん、私の身近な範囲での話です。その間にそれぞれが勉強していますし、この出来事だけで、ケースによって合否が決まったとは言えません。
ただ、私自身も第31回の面接を受けながら、「前回より話しやすいな」と感じたことは覚えています。
自分が理解しやすいと感じるテーマなのか、緊張する中でも相談者役の話についていけるのか。そのときの自分にとっての取り組みやすさには、違いがありました。
一方で、「話しやすかった」という感覚と、試験で求められる支援ができていたかどうかは、必ずしも一致しません。そこは分けて考える必要があると思っています。
自分では、合否の理由をすべて把握することはできない。だからこそ、結果から推測して、自分の能力や努力を丸ごと否定しすぎなくてもいい。
「今回不合格だったのだから、これまでの頑張りは全部足りなかったんだ」とまで考えなくてもいいのではないか、ということです。
これは、不合格だったときの自分にも言ってあげたいことの一つです。
再受験では、自分が変えられる部分に目を向けた

自分だけではコントロールできない部分があるとしても、次に向けて見直せることはあります。
私は第30回で落ちたあと、二度目の受験では「合格に近づくために、どこへ力をかけるか」をかなり意識しました。
特に考えたのが、実技試験の面接と論述に、どう取り組むかということです。
面接では、当日の緊張やケースによって、自分の対応が不安定になる感覚がありました。そこで、面接練習を続けながら、論述でもしっかり得点できるようにしようと考えました。
第31回に向けては、論述対策にもかなり力を入れました。結果として、論述では比較的余裕のある点数を取ることができ、それが合格にもつながったと思っています。
ただし、論述で高得点を取れば、面接の基準に届かなくても合格できるという意味ではありません。
実技試験では、総得点に加えて、論述・面接それぞれに満たす必要のある基準があります。受験する試験実施団体の最新の案内を確認したうえで、対策を考えてください。
合格基準の確認先:日本キャリア開発協会(JCDA)の試験サイト/キャリアコンサルティング協議会のFAQ
私の場合は、面接への不安から練習量だけを増やし続けるのではなく、論述も含めて準備を見直したことが、自分に合っていたのだと思います。
結果を完全にコントロールすることはできなくても、準備の仕方は変えられる。そのくらいに考えると、次に取り組むことが少し見えやすくなりました。
「自分はダメだった」から「次に何を見直すか」へ
一度落ちると、勉強をしながらも、「私は向いているのかな」「また落ちたらどうしよう」と、自分自身のことまで考えてしまいやすくなります。
私もそうでした。
でも、二度目の受験では、途中から少し考え方を変えました。自分の価値を考えることと、試験に合格するための対策は、一度分けてしまったほうがいいのではないか、と。
「向いているか、向いていないか」という大きな問いのままだと、いくら考えても答えが出ません。けれど、次の練習で何を変えるかなら、具体的に考えられることがあります。
- 学科なら、どの分野で間違いが多かったのか。知識が曖昧なのか、問題の読み取りでつまずいたのか。
- 論述なら、設問に沿って答えられているか。相談者の発言を根拠に、自分の考えを説明できているか。
- 面接なら、相談者の話をどう受け止め、どう理解したのか。口頭試問で、自分の関わりを振り返って説明できているか。
こうした点を、結果通知や練習で受けたフィードバックと照らし合わせてみる。自分だけでは分からないところは、指導を受けて整理することもできます。
面接で「この一言を言ったから落ちたはず」と、一つの発言だけを原因だと決めつけないことも大切だと思います。気になる場面があっても、それだけで評価全体を判断することはできないからです。
「私はダメだった」ではなく、「今回うまく示せなかったことは何か。次はどう練習するか」と考える。
私はこの切り替えができてから、試験の結果に自分の全部を重ねずに、少し距離を取って考えられるようになりました。
「頑張ってもうまくいかない」という言葉の重さを知った
不合格になったことに何か意味があったかと聞かれたら、私の中では一つ、今でも思い浮かぶことがあります。
それは、自分なりに頑張っても、思うような結果が出ない。そのときの心細さを、改めて自分の経験として味わったことです。
同じ1時間の勉強時間でも、比較的時間をつくりやすい人と、仕事や育児、介護などを調整しながら、やっと捻出している人とでは、そこにかかる負担は違います。
本人は自分のできる範囲で精いっぱい取り組んでいても、結果だけを見れば、「勉強が足りなかった」というひと言で片付けられてしまうこともあります。
人と話すことも、似ているかもしれません。
私は、人と話すことがものすごく得意というわけではありませんが、好きか嫌いかでいえば好きなほうです。
でも、人と話すこと自体に強い緊張を感じる人であれば、同じ場に立つだけでも、私が想像する以上のエネルギーを使っているかもしれません。
それでも、外から結果だけを見れば、簡単にできる人と、なかなかできない人に分かれて見えてしまう。
不合格だったとき、私は「自分としてはかなり頑張ったつもりなのに、それでも届かなかった」「じゃあ、あと何をすればいいんだろう」という、途方に暮れるような気持ちになりました。
これは今、キャリア支援に関わるうえで、私の中に残っている経験の一つです。
もちろん、だからといって、相談者の気持ちが分かるとは思いません。相手と私は違う人間ですし、同じ出来事でも、感じ方や背景は違います。
ただ、「頑張っているのにうまくいかない」と話す人を前にしたとき、結果だけでは分からない負担や、その人なりの取り組みがあるかもしれないと考える。その視点は、以前よりも自分の中に残るようになりました。
不合格に、無理に「意味」を持たせなくてもいい
ここまで書いてきましたが、同時に、不合格になったことに無理やり意味を持たせなくてもいい、とも思っています。
私は当時、何か意味を見つけたかったです。そうしないと、時間を使って頑張ったことが全部無駄になったようで、あまりにも悔しかったからです。
「この経験があったから得られたものもある」と考えることで、自分なりに気持ちを整理していた部分もあったと思います。
でも、今振り返れば、不合格を必ず「成長のきっかけ」に変えなくてもよかったのかもしれません。
今回は合格ラインに届かなかった。まずは、その出来事として受け止めるだけでもいい。
後になって何か意味を感じることがあれば、それはそれでいいし、時間がたっても「あれはただつらかった」と思っていても、それでいいと思います。
不合格になった直後は、「この経験を次に活かさなきゃ」「意味のある失敗にしなきゃ」と、気持ちの整理まで頑張ろうとしてしまうことがあります。
でも、まずは悔しいなら悔しいままでもいいのではないでしょうか。学びを見つけられないからといって、そのことまで自分の課題にしなくてもいいと思います。
もう一度挑戦することも、少し離れることも選んでいい
私は一度不合格になっただけでも、次の試験までかなり不安でした。
「次も落ちたらどうしよう」という気持ちは、どれだけ「今度こそ」と思っていても、どこかにありました。
だから、何度も受験している方を見ると、もう一度申し込むまでにも、いろいろな気持ちや調整があったのだろうなと思います。
また勉強して、ロールプレイをして、時間や費用を準備して、試験当日を迎える。結果だけでは、その間に積み重ねてきたことは見えません。
それでも挑戦したいと思って続けているなら、その選択を大切にしてほしいです。
一方で、続ける人のほうが立派で、休む人ややめる人は頑張りが足りない、ということでもありません。
受験には時間もお金もかかります。今の仕事や暮らしの中で、もう一度準備する余裕があるか、資格を取った先に何をしたいのかを考えることも大切です。
少し離れてから再受験を考えてもいいし、学んだことを今の仕事や生活で使いながら、今後の方向を見直してもいいと思います。
これまで頑張ったからこそ続けたい、という気持ちも、これまで頑張ったけれど今は休みたい、という気持ちも、どちらもあっていい。
使った時間や費用だけで、次の選択まで決めなくてもいいのだと思います。
今すぐ次を決めなくてもいい
キャリアコンサルタント試験に不合格だったとき、すぐに次の試験へ気持ちを向けられる人もいれば、しばらく試験のことを考えたくない人もいると思います。
今は悔しければ、悔しいままでいい。落ち込んでもいいし、「もう受けたくない」と思ってもいい。
少し時間がたって、「やっぱりもう一度やってみようかな」と思えたときには、そのときに改めて、今回の結果と次の準備を考えればいいのではないでしょうか。
そのときは、「私は向いていないのか」という問いだけで考え続けず、「次に向けて、何を変えられそうか」と、具体的なことに目を向けてみてください。
自分だけではコントロールできない部分もあれば、自分で見直せる部分もあります。
そして、今回の不合格という一つの結果だけで、あなた自身の価値や、これからの可能性が決まるわけではありません。
不合格に意味を持たせてもいいし、持たせなくてもいい。もう一度挑戦してもいいし、少し離れてから考えてもいい。
自分の気持ちと今の暮らしを確かめながら、試験との距離を決めていけばいいのではないかな、と、不合格を経験した一人として私は思っています。
資格とこれからの働き方を、一緒に整理したい方へ
「もう一度受けたい気持ちはあるけれど、今の生活で続けられるか迷っている」
「資格を取ったあとに、何をしたかったのか分からなくなってしまった」
もし、再受験やこれからの働き方について誰かと話しながら整理したいと感じたら、キャリア相談もご利用いただけます。
この相談では、試験の採点や合否の判定ではなく、これまでの経験、資格を目指した理由、今の暮らしや大切にしたいことを伺いながら、これからの選択肢を一緒に考えます。
再受験するかどうか、答えを決めてからお越しいただく必要はありません。まだ迷っているところから、お話しいただけます。

