【事業をつくる】子連れで働ける場所を、自分でつくった1年―資格が自信に

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子どもを見てもらいながら、少しの時間でも仕事や勉強に集中できたら。

育休中に感じたそんな思いから、キッズスペース付きのコワーキングスペースを開いた、たかえさん。中小企業診断士として登録してから約1年、思い立った瞬間から考えると約6年をかけて、自分が欲しかった場所を形にしました。

開業までの道のりは、勢いだけで進んだものではありません。先に事業を始めた人に話を聞き、コワーキングスペースの運営会社に転職し、事業計画をつくり、相談を重ねる。その一方で、開業した今も、集客や収益への不安はあるといいます。

今回は、たかえさんに、開業のきっかけから資格が支えになったこと、始めてみてわかった利用者のニーズまで、キャリアコンサルタントのさわだまいが伺いました。

まい

自身で事業をはじめたい方、ママ向けサービスを考えている方。資格がどう事業につながるのか気になる方はぜひ、チェックしてみてください。

ブログ案内犬しろちゃん

たかえさんのプロフィールはコチラ

※本記事はXスペースでの対談をもとに、相づちや重複を整理し、読みやすく編集・再構成しています。発言は逐語録ではありません。事業の状況は対談時点のものです。

この記事でわかること

育休中に欲しかった「自分のことに集中できる場所」

まい

まず、たかえさんが開いたコワーキングスペースについて教えてください。

たかえさん

今年の8月25日に、親子連れでも来られる場所をつくりたいと思って、キッズスペース付きのコワーキングスペースをオープンしました。オープンからは今約1か月ですね。

保育士さんに来ていただく日も設けています。子どもを見てもらいながら、親は少し集中して仕事や勉強ができる場所です。

私自身は中小企業診断士として登録していて、そのほかにキャリアコンサルタントとFP1級の資格を持っています。

さわだまい: こういう場所をつくろうと思ったきっかけは、何だったのでしょうか。

たかえさん: 最初に思ったのは、もう6年くらい前なんです。1人目を出産して育休中だったときに、FPの資格を取ろうと思って勉強していました。

でも、家ではなかなか集中する時間が取れなくて。気分転換にカフェに行って勉強しようと思っても、子どもが起きてしまって、5分くらいで帰らなければいけないこともありました。

図書館の自習室などにも、子どもを連れては行きにくいですよね。それで、「子どもを見てもらいながら、勉強できる場所が欲しい」と思ったのが、一番最初のきっかけです。

そこから、なかなかすぐには行動できなかったのですが、6年かかって、やっとオープンしたという感じですね。

さわだまい: 子どもが寝たら勉強しようと思っても、それはもう予定どおりにはいかないですよね。

たかえさん: そうなんです。寝たから2時間くらいできるかなと思っても、途中で起きてしまったり。時間を計って取り組みたいものも、なかなかできなかったりして。「自分の時間が欲しいな」と思いました。

さわだまい: キッズスペースだけでなく、保育士さんに来てもらうことも、最初から考えていたのでしょうか。

たかえさん: はい。スペースだけあっても、親が子どもを見ていないといけないのであれば、家とあまり変わらないんですよね。誰か、プロの方に見てもらいたいという思いがありました。

「あったらいいな」から、事業として考えるまで

まい

欲しい場所を思い描くことと、実際につくることの間には、大きな壁がありそうです。

たかえさん

やっぱり自信がなかったですし、つくったところで誰が来てくれるんだろう、という不安もありました。すぐに「つくろう」とは、なかなかなれなかったですね。

たかえさん:4年くらい前には、関西で似たような事業をされている方に、お話を聞きに行っていました。実際にお店に行って、代表の方とお話しさせてもらったんです。

そのときに印象に残ったのが、「店舗だけで収益を上げるのは、結構大変だよ」というお話でした。

私がお話を聞きに行った方たちは、店舗以外にも事業の柱があったんです。Web系の仕事をしていたり、ほかの会社から業務委託で仕事を受けていたり。

それを聞いて、自分も店舗だけではなく、それ以外の収入の柱を持っておかないといけないなと思いました。

さわだまい: 場所の利用料だけで収益をつくる難しさを、開業前に知ったのですね。

たかえさん: そうですね。少し話が前後しますが、1人目の育休から復帰したときは、保険会社に勤めていました。その後、コワーキングスペースを運営している会社に転職したんです。

まだ自信がなかったので、まずは実際に見てみようと思って。そこで事業のことや収益の立て方を見ていても、単純に利用料を積み上げていく形は、難しいと感じました。

大きなところには会員数の多さがありますし、ほかの運営会社を見ても、デザインなど、店舗以外にプラスアルファの事業の柱を持つところがありました。

さわだまい: コワーキングスペースと、別の事業を組み合わせているのですね。

たかえさん: 私の印象では、Web系やデザインの会社も多いです。店舗を使って関連する講座などを開いたり、スタッフがWebデザインの仕事をできたりするので、場所も活かせるのだと思います。

大手では、不動産系の会社が運営しているところもありますね。自分たちで物件を持っているなど、個人が借りて始める場合とは違う強さもあるのかなと感じています。

中小企業診断士の登録が、踏み出す自信になった

まい

運営会社で経験を積んだあと、ご自身で始めようと思ったきっかけは何でしたか。

たかえさん

1年前には、まだ会社を辞めるとは全然言っていませんでした。2人目の育休から復帰していて、勤め先も比較的小さな会社だったので、いろいろなチャンスはあるだろうなと思っていました。

たかえさん: そのなかで、中小企業診断士として登録したことが、大きなきっかけになりました。それまで自信がなくて、行動につながらなかったところに、登録したことが少し自信になって。「思い切って、やってみよう」と思いました。

さわだまい: どんな点が、自信につながったのでしょうか。

たかえさん: 店舗以外にも、何か収入の柱が必要だと思っていたんです。診断士を取ったことで、それを自分の収入の柱にできるかな、と考えられたことですね。

診断士の資格を持っていても、皆さんがやっていることは本当にさまざまです。コンサルティングをされる方もいれば、企業向けの研修を中心にされる方もいます。

最低限の知識はある、ということを示してくれるような資格だと私は思っていますが、そのうえで、もっと自由に動ける資格なのかなと感じています。

さわだまい: 今は、どんな分野の支援をしているのですか。

たかえさん: 創業支援が多いですね。ちょうどお店でも、創業相談会を開く予定です。

「創業したい」「副業をしてみたい」という方だけでなく、これからどうしていこうかなと考えたときに、創業や副業が少し頭に浮かんでいるような方のお話も聞いています。そのあたりは、キャリアコンサルタントとしての相談にも近いですね。

資格への再挑戦は、大学時代の心残りから

まい

そもそも、中小企業診断士を取ろうと思ったのはなぜですか。お店をつくるために、という理由だったのでしょうか。

たかえさん

実は、診断士の存在は大学生のときから知っていました。商学部で簿記なども勉強していて、関連する資格はないかなと調べたときに知ったんです。

たかえさん:そのときに、TACにも申し込んだんですよ。親にお金を出してもらったのですが、早々に挫折して、行かなくなってしまいました。

それが、ずっと心残りで。お金を出してもらったのに通わなくなってしまったことに、引っかかりがありました。

2人目の育休を取るタイミングで、「もう一度、診断士に挑戦してみよう」と思ったのが、今回のきっかけです。

さわだまい: 最初から開業に向けて一直線に取った資格ではなく、再挑戦したことが、結果として今の事業につながっているのですね。

たかえさん: そうですね。つながってくれた、という感じです。

「まさに来てほしかった人」が、勉強しに来てくれた

まい

実際にオープンして、うれしかったことはありますか。

たかえさん

私がまさに来てほしいと思っていた方が、リピートしてくださったんです。

たかえさん:育休中で、宅建の試験に向けて勉強している方なのですが、お子さんがなかなか寝てくれなくて、家では勉強できないと。その方が来てくださって、保育士さんに3時間くらいお子さんを見てもらいながら、ずっと宅建の勉強をされていたんです。

その場面を見て、すごくよかったなと思いました。

さわだまい: かつて、たかえさん自身が欲しかった時間を、今度は利用者さんに届けられたのですね。勉強についての会話もできそうです。

たかえさん: そういう会話ができるのも、自分が育休中に勉強していたからなんだなと思います。

でも、仕事をしながら勉強されている方も、本当に大変だと思うんですよね。皆さんすごいです。私自身は、どうやって時間をつくるかを工夫しながら、その時々でやっていたことがよかったのかな、という感じです。

事業計画を書いて、相談に行く。開業までにしたこと

まい

「こういう場所があったらいいな」を実現するために、具体的にはどんな準備をしましたか。

たかえさん

創業するときには、お金の問題もありますよね。私は、日本政策金融公庫が開いている事業計画書の書き方のセミナーを聞いたり、商工会議所に相談に行ったりしました。

たかえさん: まずセミナーを聞いて、事業計画書をひとまずつくった状態で、商工会議所に持っていきました。

市の創業補助金や、県の起業家支援の助成金にも採択していただいて、活用しています。そうした支援を受けるための相談も重ねました。

さわだまい: 最初から完璧な計画書をつくらなければ、相談できないわけではないのですね。

たかえさん: そうですね。完全にできていなくても、相談には乗っていただけると思います。

私の場合は、以前に受けた創業セミナーも、その後の相談のなかで活かせました。どんな支援や制度があるかを知る意味でも、商工会議所には行ってみるといいと思います。

需要はあると思う。でも、今も不安はある

まい

利用してくれそうな人がどのくらいいるか、場所や市場についても調べたのでしょうか。

たかえさん

人口の推移や、ママ向けの場所なので、周辺に子どもがどのくらいいるかは調べました。近くに新しいマンションが建っていたので、そういう情報も見ていましたね。

たかえさん: ただ、半分は少しこじつけのようなところもあって。「ここがいいな」と思ったときに、その裏付けになる情報を調べていた面もあります。

さわだまい: 「需要があるか不安で、踏み出せない」という方もいると思います。その不安とは、どう向き合ってきましたか。

たかえさん: 需要は、本当に気になります。「こういう場所をつくったら、喜んでくれる人はいるだろうな」と思う一方で、親になってから勉強する人は、実際には少数派なのかなとも思うんです。

資格の勉強をしている人たちとつながっていると、すごい方がたくさんいるので、いるように感じます。でも、全体で見るとどうなんだろう、と。

周りの方には「需要はあります」と言っていますが、正直、すごく不安です。「あまり求められていないのかな」と思いながらやっていることもあります。

それでも、結局は「自分がつくりたい」という気持ちが勝って、つくりました。

さわだまい: 不安がなくなったから始めた、というわけではないのですね。

たかえさん: そうですね。事業計画書をつくる前には、アンケートに協力してもらって、回答を集めることもしていました。

計画をつくりながら、いろいろな情報を見て、根拠をつくっていく。それによって、少し自信がついたところもあります。

ただ、最終的には感覚の部分もあります。「本当に人が来るのか」ということの根拠を、全部はっきり示せるわけではないので。

自分の拠点を持つ前に、小さく始める方法もある

まい

勉強できる場所などをつくってみたいけれど、需要や費用が心配だという方には、どんな始め方が考えられるでしょうか。

たかえさん

もし本当につくってみたいという思いがあるなら、できるところから考えてみてもいいのかなと思います。無責任に聞こえるかもしれませんが、小さく始める方法もありますよね。

たかえさん:私が見かけた勉強スペースでも、そこで語学教室を開いたり、フリースクールのような取り組みをしたりしているところがあります。場所があれば、その方の資格や経験を活かして、いろいろなことができると思います。

アクセスがよくなくて、車でしか行けないような場所にあるコワーキングスペースも見たことがあります。そこには場所代の安さがあったり、運営する方に別の収入源があったりする。まずそこでやってみて、うまくいったら拠点を増やすような例もありますね。

最初から自分の拠点をつくらず、その都度、場所を借りて自習室を開いている方もいます。

さわだまい: 常設の店舗だけに絞らず、場所や事業の組み合わせを考えることもできるのですね。

たかえさん: そうですね。小さく始めるということも、一つの方法だと思います。

収入を安定させる仕組みも考えていく

まい

継続して利用してもらうことや、収入を安定させることは、どう考えていますか。

たかえさん

大きな施設だと、シェアオフィスのように個室を持っていて、月額で入ってもらう仕組みがありますよね。毎月、決まったお金が入ってくるのは、気持ちの面でも安定につながると思います。

たかえさん: 私のお店は基本的にオープンなスペースで、個室がないので、その形は取れません。やるとしたら、月額のサブスクプランなどで会員さんを集めて、固定的な収入を増やしていくことかなと考えています。

さわだまい: 利用料金は、どのように決めましたか。

たかえさん: 価格は、本当に最後まで悩みました。

近隣のコワーキングスペースの料金を調べて、比べたときに高すぎないかを考えました。一方で、事業として支払っていかなければならないものもあります。

事業者としての目線と、利用者としての目線の両方を大事にしながら、周りの人にも聞いて決めました。見守り保育を利用する場合の料金も、比較しながら、できるだけ抑えた設定にしています。

さわだまい: コワーキング以外の使い方も用意しているのでしょうか。

たかえさん: 貸し切りのレンタルスペースとしても使えるようにしています。土日は、スタッフがいなくてもレンタルスペースとして利用が入っていくと、私としてはありがたいですね。

開業後に見えてきた、フリーランスのママたちのニーズ

さわだまい: オープンから約1か月。今は、どんなことに力を入れていますか。

たかえさん: まずは知ってもらわないといけないなと思っています。開業前から話題にしてくださっていた方がいる、ということも聞いていましたが、やはり知っていただく活動が必要ですね。

地道に周辺のマンションにポスティングをしたり、Instagramの広告を出してみたりしています。

市内の事業者さんとのつながりも、これからつくっていきたいです。子ども向けの事業をしている方や、フリースクールをしている方に会いに行ったり。商工会議所にも入ったので、セミナーや交流会に参加して、横のつながりを増やそうと思っています。

さわだまい: 開業前に考えていたことと、実際に始めてみて違ったことはありましたか。

たかえさん: お店で開いた、フリーランスの方や事業を始めた方などの交流会が、今のところ一番反響がよかったんです。来月も開くことになりました。

来てくださる方は女性で、ママが多いのですが、必ずしも子連れではないんですよね。

子連れで来る方というと、まだ幼稚園や保育園に入っていないお子さんがいる方が中心になります。でも交流会には、お子さんが保育園や小学校に行っている間に、フリーランスのママたちが来てくださったんです。

意外と、そういうニーズがあったんだなと気づきました。今は、その方たちにどう知ってもらうかも考えています。

さわだまい: 子どもを見てもらうためだけでなく、同じような立場の人とつながる場所としても、求められているのですね。

たかえさん: そうですね。交流会の前に、グループでお話しするような時間をつくることもあります。

利用者の「やってみたい」から、場所の可能性が広がる

さわだまい: 利用者さんとの会話から、新しい使い方が見えてくることもありますか。

たかえさん: この前の交流会で、「子ども向けのデザイン教室をやってみたい」という方がいたんです。それなら「うちでできますよ」とお話ししました。実現したらうれしいですね。

平日の営業は17時までなので、夕方以降は空いています。その時間に、子どもの習い事ができるようにすることも考えています。

そういうことは、お客さんと話していて気づくんですよね。「そういう使い方もできるな」と。

さわだまい: 最初から毎週教室を開くのではなく、「まず1回やってみたい」という人にも、使いやすそうです。

たかえさん: そうですね。実際に始めてみて、いろいろな声を聞くなかで、自分でも気づくことがあります。

さわだまい: 反対に、始めてみて大変だと感じることは何でしょうか。

たかえさん: 今は事務作業に追われているところがあります。後回しにしていた会計の作業がたまっていて、今日もやっていました。

でも、そればかりやっていてもいけないので、営業活動もしていかなければと思っています。スタッフにお願いできそうなところはお願いしながら、進めていきたいですね。

「コワーキングスペース」という言葉だけでは、伝わらないかもしれない

まい

お話を聞いて、利用する人の数だけでなく、繰り返し来てもらうことや、いろいろな使い方を考えることも大切なのだと感じました。

たかえさん

単価をどう設定するかにもよりますが、ママ向けのサービスは、どうしても価格を抑える方向になりがちだと感じています。

たかえさん: それに、そもそも「コワーキングスペースって何?」という方も結構いらっしゃるんです。まず、どういう場所なのかを知っていただく必要がありますね。

今は、新しく創業したい方や、「ちょっと試しに、これをやってみたい」という方が来る場所になっていけばいいなと思っています。

そうすると、「コワーキングスペース」という名前だけでは合わないのかな、とも思っていて。「こういうお店です」ということを、もう少しうまく言葉にして、伝えていかなければいけないと感じています。

さわだまい: 勉強や仕事ができるだけでなく、人とつながったり、教室を開いたり、新しいことを試したりできる場所なのですね。

今日伺った、経験を積みながら準備してきたことも、始めてから見えてきたことも、とても参考になりました。ありがとうございました。

たかえさん: ありがとうございました。

おわりに|「欲しかった場所」を、少しずつ形にする

たかえさんのお話を伺って印象に残ったのは、不安がなくなってから開業したわけではない、ということでした。

先に始めた人に話を聞き、運営会社で経験を積み、店舗以外の収入源も考える。資格を取り、事業計画を書いて相談する。一つひとつ準備を重ねながら、それでも残る不安とともに、自分が欲しかった場所を形にしてきたのだと感じました。

そして、開業してからも、その場所の役割は広がっています。育休中に勉強したい人のための場所であり、フリーランスのママたちがつながる場所でもある。これから教室を開きたい人が、最初の一歩を試せる場所にもなるかもしれません。

私自身も、頭のなかで考えるだけでなく、書いてみる、人に話してみる、小さく試してみることを大切にしたいと思いました。

たかえさん、開業までの道のりだけでなく、今も感じている不安や、始めたからこそ見えてきたことまで、率直にお話しくださり、ありがとうございました。

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さわだ まい
資格好きの主婦
行政書士・宅建士・FP・保育士・危険物などいろいろな資格を持っています。
6歳5歳の育児の傍ら、更なる資格取得にチャレンジします。
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