資格の講座代は経費にできる?会社員・個人事業主・主婦で答えが違います【20資格ホルダーが解説】

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確定申告の書類と領収書を整理する女性
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「通信講座の申し込みボタンを押す前に、指が止まった」——そんな経験、ありませんか。私はあります。だって10万円。

まい

こんにちは、まいです。

資格を20個以上取ってきたので、これまでに払ってきた受験料・テキスト代・講座代は、正直こわくて合計を出していません(笑)。そこで一度きちんと調べたのが、「この費用、経費や控除にできないの?」という疑問でした。

結論から言うと、できる人とできない人がはっきり分かれます。そして「資格の勉強代は経費になるらしいよ」という話を鵜呑みにすると、あとで痛い目を見ます。この記事で整理していきますね。

しろちゃん: 資格って自分に投資してるんだから、経費でいいんじゃないの?

まい: その感覚、すごく分かる。でも税金の世界だと「自分への投資」はむしろ経費になりにくい理由なんだよね。そこが今日の一番のポイント。


この記事でわかること

まず、あなたの立場で答えが変わります

同じ「簿記講座に10万円払った」でも、その人の働き方によって使える制度がまったく違います。まずは自分がどのタイプかを確認してください。

資格の講座代を経費にできるかは立場で変わる早見表

「資格の勉強代は経費になる」という話がネットに転がっていますが、それがそのまま当てはまるのは個人事業主・フリーランスの人だけだと思ってください。会社員には別の制度があり、収入がない人はそもそも土俵に乗りません。

それでは、ひとつずつ見ていきます。

①個人事業主・フリーランス:分かれ目は「今の仕事に直接必要か」

個人事業主が資格取得費を経費(研修費など)にできるかどうかは、資格の難易度でも金額でもなく、「今やっている事業に直接必要かどうか」で判断されます。

個人事業主が資格取得費を経費にできる場合とできない場合の一覧

「これから始める仕事」のための資格は、原則アウト

ここが一番の落とし穴です。多くの人が資格を取るのは「新しい仕事に就くため」「収入を増やすため」ですよね。ところが税務の考え方では、それはまさに経費にならないパターンなんです。

実際、宅建士の資格取得費について「新しい職業を獲得するための教育費であり、必要経費には算入できない」と判断された裁決があります。宅建は私も持っている資格なので、これを知ったときは「そりゃそうか…」と妙に納得してしまいました。

ほかにも、歯科医が受けた英会話研修について、外国人患者の受診実績が少ないことなどから「業務の遂行上どうしても必要とまでは認められない」として否認された事例もあります。「仕事に役立ちそう」では足りず、「その仕事にどうしても必要」というレベルが求められる、ということですね。

しろちゃん: じゃあ個人事業主でも、ほとんど経費にできないってこと?

まい: 「これから」がダメなだけで、「今の仕事のスキルアップ」ならいけることが多いよ。たとえば私はライターの仕事をしているから、ライティング講座や取材のセミナー代は事業との関係を説明できる。でも同じ私が宅建の講座代を経費にしようとしたら、それは通らない。同じ人でも資格によって答えが変わるの。

判断のコツは「説明できるか」

迷ったときは、「税務署の人に聞かれたとき、この支出が今の売上にどうつながるか30秒で説明できるか」を自分に問いかけてみてください。言葉に詰まるなら、それは経費にするには根拠が弱いサインです。

領収書を手に経費にできるか迷う女性

②会社員・パート:制度はあるが、ハードルが2つある

会社員の人が使えるのが「給与所得者の特定支出控除」です。平成24年度の改正で、この特定支出に資格取得費が加わりました。つまり制度としては、会社員でも資格の費用を所得から差し引ける道があります。

ただし、ハードルが2つあります。

ハードル1:給与所得控除の「1/2」を超えないと使えない

特定支出控除は、支払った全額が引けるわけではありません。その年の給与所得控除額の1/2を超えた部分だけが対象です。

年収400万円の場合給与所得控除は124万円
その1/2は62万円
つまり特定支出の合計が62万円を超えた分だけが控除できる

資格の講座代だけで62万円を超えるのは、正直かなり大変です。ただし特定支出には通勤費・転居費・研修費・単身赴任の帰宅旅費なども含まれ、それらを合算できます。転勤があった年など、条件がそろえば現実味が出てきます。

ハードル2:「業務に必要」という証明書がいる

もうひとつが証明書です。特定支出控除を使うには、その支出が業務に必要だと勤務先に証明してもらう必要があります。

これ、正直しんどいですよね。「資格を取りたいので証明書を書いてください」と会社に頼むのは、転職を考えている人ほど言い出しにくいはずです。ここで諦めた人、多いんじゃないでしょうか。

実は、会社に頼まなくてもいい道があります

ここが今日いちばんお伝えしたいことです。

令和5年度の税制改正で、厚生労働大臣が指定する教育訓練給付の指定講座については、勤務先の証明に代えて「キャリアコンサルタントによる証明」で特定支出控除が認められることになりました。

つまり、会社に言いづらい人でも、国家資格キャリアコンサルタントに相談して証明を出してもらえば、この制度が使えるということです。

しろちゃん: それ、まいさんが証明を出せる側の人じゃない?

まい: そうなんです。私は国家資格キャリアコンサルタントとして登録しているので、まさにこの証明にかかわる立場。だからこそ言えるんだけど、この制度、知られなさすぎ。会社に頼めないという理由だけで諦めている人に、いちばん届いてほしい情報です。

なお、対象になるのは教育訓練給付の指定講座です。受けようとしている講座が指定されているかは、申し込み前に必ず確認してください。指定講座かどうかは、そもそも受講料が戻ってくる制度にも直結します。

③専業主婦・収入がない場合:経費ではなく「給付」を狙う

いちばん誤解が多いのがここです。経費も控除も、「稼いだ所得から差し引く」仕組みです。差し引く相手である所得がなければ、そもそも効果がありません。

「主婦だけど資格の勉強代を確定申告で取り戻せますか?」という質問の答えは、残念ながら基本的に「いいえ」になります。

ただし、諦めるのはまだ早いです。狙うべきは教育訓練給付制度。これは税金の話ではなく雇用保険の制度なので、条件を満たせば受講料の一部が戻ってきます。過去に働いていて雇用保険に入っていた期間があれば、退職後しばらくは対象になる可能性があります。

税金で取り戻すより、こちらのほうが現実的で金額も大きいことが多いです。詳しい条件や手続きは別記事にまとめているので、そちらもあわせてどうぞ。

[▶ 関連記事:通信講座が実質割引に?教育訓練給付制度の使い方(内部リンク)]

やる前に知っておきたい注意3つ

①領収書と受講証明は必ず取っておく

あとから「経費にできたのに証拠がない」ほど悔しいことはありません。オンライン講座は領収書がマイページからのダウンロードのみ、というケースも多いので、申し込んだ日にPDFを保存しておくのがおすすめです。受講期間が終わるとページごと見られなくなることがあります。

②開業前に払った分は「開業費」にできる場合がある

これから開業する予定で、その事業に直接必要な支出であれば、開業費として計上できる場合があります。「開業前だからもう無理」と決めつけず、開業の準備として説明できるかどうかで判断してください。

③グレーなら、税務署に事前に相談するのが最強

いちばん確実で、いちばん使われていない方法がこれです。税務署の相談は無料で、確定申告の時期を外せば比較的ゆっくり聞けます。ネットの記事を10本読んで悩むより、自分の状況を説明して聞いたほうが早いです。私も迷ったときは電話で確認しています。

書類の整理を終えてすっきりした表情の女性

まとめ

整理すると、こうなります。

  • 個人事業主・フリーランス…「今の事業に直接必要」なら経費にできる。これから始める仕事のための資格は原則不可
  • 会社員・パート…特定支出控除が使えるが、給与所得控除の1/2超という壁がある。証明書はキャリアコンサルタントに依頼する道もある
  • 専業主婦・収入なし…経費や控除ではなく、教育訓練給付制度を狙う

正直に言うと、資格の費用を全額取り戻せる人はそう多くありません。でも「自分は使える側なのかどうか」を知っておくだけで、次の講座を選ぶときの判断がまったく変わります。私自身、これを調べてから「どうせなら指定講座から選ぼう」と考えるようになりました。

資格にかかるお金は、決して小さくありません。使える制度は遠慮なく使って、その分を次の1個に回していきましょう。

※この記事は2026年7月時点の情報をもとにした一般的な解説です。税務の取り扱いは個々の状況によって判断が異なり、また制度は改正されることがあります。実際の申告にあたっては、必ず所轄の税務署または税理士にご確認ください。

確定申告の書類と領収書を整理する女性

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さわだ まい
資格好きの主婦
行政書士・宅建士・FP・保育士・危険物などいろいろな資格を持っています。
6歳5歳の育児の傍ら、更なる資格取得にチャレンジします。
この記事でわかること